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2022年 2月16日 / ブログ記事

TECAPEEKの導電性・帯電防止性について

 

今回は、弊社へのご質問が多いTECAPEEKの導電性・帯電防止性について説明します。

グレードの種類が多いTECAPEEKですが、その中でも4種類をピックアップします。

  

炭素繊維配合PEEK - TECAPEEK CF30と他社相当品について

炭素繊維強化グレードは、機械特性の強化を目的として炭素繊維を配合しています。二次的な効果として、炭素繊維が持つ導電性が部分的に発揮されます。しかし、炭素繊維をPEEKを配合した状態はムラと凝集がでるため、帯電する部分とそうでない部分が発生し、抵抗値の大きなばらつきにつながります。また、繊維強化により、加工後にソリ・ネジレなどの変形が生じやすくなり、切削加工時に高い寸法精度の実現は難しくなります。

PEEK導電グレード - TECAPEEK ELS nano blackの特徴

カーボンナノチューブを配合した、104以下の電気抵抗特性を有する素材です。カーボンナノチューブは、導電性に優れ、小サイズで均一に分散していることにより、安定した導電性を発現させることができます。添加量は数%であり、物性に与える影響はとても少ないです。そのため、切削加工性は無添加のPEEK素材とほとんど同じで、炭素繊維配合PEEKのような刃の摩耗や変形トラブルはありません。

PEEK導電+強化グレード - TECAPEEK ELS CF30 blackの特徴

炭素繊維と導電性フィラーを配合することにより、均一な導電性を付与した炭素繊維強化PEEK素材です。TECAPEEK CF30のように高い剛性を持ちながら、安定的に104以下の電気抵抗特性を有する素材です。切削加工性はTECAPEEK CF30と同等であり、高い寸法精度が必要な場合はTECAPEEK ELS nanoを推奨します。

帯電防止性PEEKグレード - TECAPEEK SD blackの特徴

導電性セラミックを配合した、106~109の電気抵抗特性を有する帯電防止性素材です。炭素繊維などとは異なり、粉状の微細なフィラーを使用しているため、加工後にソリ・ネジレなどの変形を最小限に抑えられます。優れた寸法安定性に加えて、高い剛性により切削加工時にバリが出にくく、精密部品や厳しい要求の寸法公差への対応が可能です。

上記より、弊社のTECAPEEK CF30 blackや通常の炭素長繊維配合PEEK素材は表面抵抗が不安定のため、102~104 Ω/sq.の安定した導電性をお求めの場合は、下記の導電グレードを推奨いたします。

 

  • TECAPEEK ELS nano black (PEEK+カーボンナノチューブ)
  •  TECAPEEK ELS CF30 black (PEEK+炭素繊維+導電性フィラー)

 

また、表面抵抗の106~109 Ω/sq.の帯電防止性がお求めの場合は、TECAPEEK SD blackを推奨いたします。

 

詳細の物性・特性につきましては、下記お問い合わせフォームよりお問合せください。

 


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