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2023年 8月24日 / ブログ記事

PFAS規制の影響とPFASフリーの代替品について

工業界において、Per- and polyfluorinated chemicals(PFAS)は現在大きな注目を浴びており、その規制が進行中です。PFASは「永遠の化学物質」とも呼ばれ、少なくとも1つの完全フッ素化メチル (CF3) またはメチレン (CF2) 炭素原子を含み、H/Cl/BR/I 原子が結合していない物質を広義で指します。これには10,000以上もの異なる物質が含まれます。PFASは環境や人体で長期間にわたり検出され、物質によっては健康問題を引き起こす可能性があります。PFASの微量が土壌や水中で広く検出されています。

PFASの産業利用

PFASは熱的および化学的に安定しており、そのためさまざまな用途で広く使用されています。消防用泡、コーティング、包装、塗料、農薬、医療機器など、さまざまな用途にPFASが使用されています。エンズインガーで成形加工されるフルオロポリマーや添加剤(PTFEやPVDFなど)も、この広義の定義に該当します。

ECHAによる提案とREACH規制

2023年3月23日、欧州化学物質庁(ECHA)は、PFASの基本的な制限に関する提案を発表しました。これはEUの化学物質規制であるREACHを通じて規制される予定です。非EU諸国からのPFAS製品の輸入も影響を受けるでしょう。そのため、エンズインガーのフルオロポリマーやフッ素系添加剤を含む製品も禁止の影響を受ける可能性があります。現在、OECDの基準によれば、フルオロポリマーは無害なポリマーに分類されています。例えば、直接食品と接触しても安全なPTFEやPVDFのグレードも存在します。

提案へのコメント期間

提案に対するコメント期間は2023年9月まで続き、関心を持つ団体や企業はECHAに対して制限提案に関するデータや意見を提出できます。提案の実施範囲や方法に関する決定は、2024年半ば以前には行われない見込みです。現時点から見ると、最早2025年に制限が発効する可能性があります。

PFASフリーの代替品について

PFASフリーの代替品については、単純な一般的な答えを持つことは難しいです。多くのフルオロポリマーの特性の多様性を考慮する必要があり、特に材料が選択された温度特性、耐薬品性、摺動特性、電気特性に注意を向けるべきです。例えば、PTFEの特性を100%備えるポリマーは存在しません。そのため、代替品の検討には部品設計の変更も関わってくるかもしれません。エンズインガーは多様な熱可塑性プラスチックと製造プロセスを持っており、さまざまな代替品の候補の探索と提案が可能です。例えば、PEEK樹脂は260℃を超える耐熱性と優れた耐薬品性を持つ高機能樹脂であり、PVDFなどの代替実績もあります。但し、例えばシーリング性に関してはPVDFより劣りますので、個別のアプリケーションに応じて研究が必要です。

以下の切削加工用素材は、OECDの定義に照らしてもPFASが含まれていないと見なすことができます。
TECAPEEK natural (PEEK樹脂)
TECATRON natural (PPS樹脂)
TECAPEI natural (PEI樹脂)
TECASON P MT black(PPSU樹脂)
TECASON S natural (PSU樹脂)
TECAFORM AH natural (POM-C樹脂)
TECAFORM AD natural (POM-H樹脂)
TECAMID 66 natural (PA66樹脂)
TECAMID 6 natural (PA6樹脂)
TECAMID 12 natural (PA12樹脂)
TECADUR PBT GF30 natural (PBT樹脂)
TECAST T natural (PA6C樹脂)
TECANAT natural (PC樹脂)
TECAPET white (PET樹脂)
TECAPRO MT white (PP樹脂)


その他の素材や特殊グレードも対応していますので、お問い合わせいただければ幸いです。

まとめ

PFAS規制の動向についての知識をもとに、エンズインガーは関連する原材料サプライヤーと連携し、PFAS規制のプロセスを綿密にモニタリングし、対応策を講じています。さらなる疑問やPFAS不使用証明書の取得などに関する問い合わせは、遠慮なくお問い合わせください。
TECAPEEK natural
TECATRON natural